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異世界全盛の今こそ読みたい、学校まるごと異世界転移しちゃった90年代の奇作漫画『轟世剣ダイ・ソード』

【レビュアー/澤村晋作

昨今、異世界転生ものもブームが何周かしまして、差別化のために尖った作品が増えてきました。

しかしなんと、全校生徒550名、学校まるごと異世界転移し、ロボットで戦う作品があります。

それが『轟世剣ダイ・ソード』です。

※この漫画は「異世界もの」の中でも転生(生まれ変わる)ではなく、転移(生きたまま別世界に移動する)です。異世界ものにはいろんなジャンル分岐がありますね。

とはいえ、国まるごと異世界転移したりする作品もあるくらいですから、驚くに値しないという人もいるかもしれません。

それでも、驚くと思いますよ。

だってこの漫画、1993年の作品なんですから。

1・時代を先取りってレベルじゃない設定

93年ごろに、異世界転生ものがなかったとは言いません。

例えば、『ふしぎ遊戯』などはその代表格でしょう。

また、ロボットもので言えば、いくら何でも早すぎた名作『聖戦士ダンバイン』が83年ですから、異世界に飛んでしまうことそのものは珍しくありません。

学校ごと次元を飛んでしまうという意味では、72年の『漂流教室』もあるでしょう。

では本作ならでは特徴とは何か。

それはやはり

「全校生徒と学校まるごと剣と魔法の世界に転移する」

という点につきます。

例えば『ドラゴンクエスト』の世界に学校ごと放り出されたらどうでしょうか?

学生たちからしたら、モンスターたちのど真ん中に飛ばされたわけです。
生徒会長やクラスメートといった、勇者でも戦士でもないみんなで何とかするしかない。

一方で、異世界の人からしたら、いきなり四角い城が現れたわけです。

こりゃ面白くないわけがない!

2・斬新すぎるロボット

さて、異世界に飛ばされた九江州中学校および全校生徒は、いきなりモンスターの襲撃を受けます。

それを撃退したのが、転移するや学校に突き刺さっていた巨大な剣、ダ・イスォウドでした。

すなわち、ダイ・ソードです。

ダイ・ソードは人格を持っていますが、乗り手を必要とする呪いをかけられており、主人公・百地王太がパイロットとなります。

乗り手ということからもわかる通り、ダイ・ソードは剣から人型に変形します。

このデザインは極めて斬新でした。

剣は薄い刃が本体の大半ですから、ロボに変形させるには使いやすい部分が少なく、とても難しいのです。

後発の作品ですら、『勇者指令ダグオン』(96年)の剣星人ライアンや『轟轟戦隊ボウケンジャー』(06年)の大剣人ズバーンなどごくわずかしかいません。

それだけ、ダイ・ソードに先進性と独創性があった証左でしょう。

更に、このダイ・ソードには第三の形態があるのだから驚きです。

ダイ・ソードをはじめとする意思を持つ巨大な武器・神の武器(ゴッドフォース)は8種存在します。

剣・斧・矛・盾・籠手・鉄球・刀・聖杯の8種が、それぞれ人型のほかに獣型の形態を持っているのです。

つまりロボが24形態も登場するわけです!豪華すぎる……!!

3・膨大な伏線

また本作品は、以前紹介した『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』と同じく長谷川裕一先生の手によるものです。

そちらを読んでいただいた方にはおわかりいただけると思うのですが、長谷川先生の作品は、丁寧な伏線と合理的な設定が特色です。

本作においても、それは遺憾なく発揮されています。

例えば、学校まるごと転移するということそのものです。

学校は校庭や体育館を含む地盤ごと異世界に飛ばされているのですが、少し浮いており、帆をかければ移動することもできます。

なぜ浮いているかについては、この世界にとって異物だから反発しているのではないか、ということが仮説として提示されます。

このことが、終盤極めて大きな意味を持ってくるのですが――

そしてなぜ、ダイ・ソードが乗り手を必要としているのか。

ゴッドフォースを作り出した神とは何か。

それは皆さんの目で確かめてみてください。


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