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祝・紫綬褒章受賞!漫画史に燦然と輝くほんまもんの天才・高橋留美子デビュー作の正しい楽しみ方『うる星やつら』

【レビュアー/本村 もも】

2020年の紫綬褒章に、高橋留美子先生が選ばれました!

高橋先生おめでとうございます!!

高橋留美子先生は大学在学中にデビューし、『うる星やつら』の連載をスタート。その後『めぞん一刻』を同時連載しながら、『らんま1/2』『犬夜叉』『境界のRINNE』そして現在は『MAO』を、途切れることなく週刊連載続ける、人気漫画家です。

週刊連載の合間にも『高橋留美子劇場』『1ポンドの福音』『人魚シリーズ』といった名作も生み出しています。

デビューから休むことなく第一線で漫画を書き続ける高橋先生。とあるインタビューでは、「連載中ネタが思いつかなくて困ったことは一度もない」と語っていました。高橋先生はほんまもんの天才。紫綬褒章受賞は時間の問題だったと思います。

今日はそんな高橋先生の連載デビュー作、『うる星やつら』について、語らせていただきます。長いですが、お付き合いいただけると嬉しいです。

私が『うる星やつら』に出会ったのは、『犬夜叉』連載スタートの数年前。おたふく風邪で寝込んでいた時に、不憫に思ったのか、父がおもむろに家の奥から出してきたのが『うる星やつら』でした。

父が学生時代に集めていた単行本は、かなり年季の入った雰囲気でしたが、あたるとラムを筆頭に、出てくるキャラクター全てに心を鷲掴みされ、最終巻34巻まで一気に読み進めました。世代を超えて読者を魅了する『うる星やつら』。一番面白い漫画は?と聞かれれば、私は食い気味に「『うる星やつら』が宇宙一です!!」と答えています。

SFギャグを楽しむもよし、美少女を楽しむよし、本作の楽しみ方は様々ですが、私は「全宇宙を巻き込んで展開される、主人公・諸星あたるとラムの痴話喧嘩を楽しむギャグ漫画」だと思っています。

ちなみに、高橋先生自身も本編でネタにしていますが、『うる星やつら』の主人公はラムではなく、あたるです。むしろラムはレギュラーの予定ではなかったのですが、一瞬で読者からものすごい人気が出てしまったので、ヒロインになったという逸話のあるキャラクターなのです。

1000%萌え要素しかないヒロイン、ラム

ラムといえば、虎柄のビキニ姿に、一人称が「うち」、語尾に「だっちゃ」「け?」等がつく独特のなまりが特徴です。

ラムは宇宙からやってきた、あたるの押しかけ女房で、あたるを「ダーリン」と呼び、彼が他の女の子にちょっかいをだすと、「浮気は許さないっちゃ!」と電撃を浴びせます。

ラムのこの情報は、「うる星やつら」を読んだことがない人でも、知っている人は多いと思います。

よくある誤解は、「ラムは気が強くて嫉妬深い、ちょっと恐い子なんじゃないか」ということ。

ぜんぜん違います。ラムは見た目が可愛いのはもちろん、性格もめちゃくちゃ素直で明るく、勉強も理系科目は得意だし、メカにも強い、地球の言葉も話せるバイリンガル。

でも言葉にはなんだか可愛いなまりがあるし、料理は下手くそで、ちょっぴり抜けているところもある。

そして何よりあたるに対してひたすら一途。こんな子が自分のことを好きなってくれると想像しただけで、幸せ妄想爆発できちゃう1000%萌え要素しかないヒロインです。(連載当初から、どんどん性格が丸くなっていった感もありますが!)

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『うる星やつら』(高橋留美子/小学館)29巻より引用

ツンデレの化身、諸星あたる

そんな萌え萌えヒロインに対してあたるはというと、「諸星あたる」という名前の通り、いろんな不幸やトラブルに「当たる」人生。

運も悪ければ、勉強もできないし、見た目もアホ面。

とにかく”女の子が大好き”という原動力だけで、どんなトラブルも乗り越えながら、時にはその原動力がトラブルの原因になりながら、ありとあらゆる女の子をデートに誘ってはラムの電撃を食らう日々。

本命のラムに対して全く素直じゃないあたるは、ただだた典型的なダメンズと呼べますが、「女の子という生き物はすべて可愛くて、大切しなければならない」という確固たるポリシーがあるので、ごくごく稀に超イケメン行動をとることがあります。

そしてこれもまたごく稀なことですが、ラムにたいしてデレなところを見せることがあり、これが諸星あたるの最大の魅力、ギャップ萌えにつながっています。

ラムが宇宙に帰ってしまったと勘違いしたあたるが、ラムの残したラム人形(こっそり仕込んだマイク入り)を毎晩泣きながら抱きしめて過ごしていたくせに、いざラムが戻ってくると「いなくなってさっぱりしとったのに・・」と語ります。

そして人形に入ったマイクで泣いていたことを知っているラムは、人形を指差し、「ずいぶん汚れてるっちゃね」と意地悪を言います。

うん。たまりませんね。

こういうツンデレの要素はその後の高橋先生の作品、『めぞん一刻』の管理人さん(響子さん)や、『らんま1/2』のあかねなどの、ヒロインにつながっており、高橋先生をツンデレの魔術師たらしめている原点が、まさに諸星あたるなのです。

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『うる星やつら』(高橋留美子/小学館)34巻より引用

最終巻、最後のセリフが物語る、二人の恋愛観

この対比だけ見るとあたるがただのクズ男なのですが、読み進めていくとわかることは、この二人は絶対的にお互いのことが好きということ。

女の子大好きなあたるですが、ラム以外の女の子で、彼を相手にする人はほぼいません。

そしてそのことを、あたる自身が一番よくわかっていて、もはやラムの電撃を食らうためにちょっかいを出している。

いわばラムへの愛情確認ですね。

素直にラムに愛情表現をできないあたるですが、ラムもそれがわかっていてお約束の電撃を落とす。

全編通して展開される二人の痴話喧嘩。ツンデレの化身・あたるを宇宙規模の大きな愛で包み込むラム、そんな二人の関係性が愛しくてたまらないのです。

最終巻の二人の最後のセリフがその全てを物語っており、そのページは何度読んでも悶えてしまうし、それを読むためにまた1巻から読み直そうと思えます。

宇宙一好きな漫画だったので、長くなってしまいました。熱く熱くあたるとラムの恋愛観を書きましたが、『うる星やつら』はラブコメではなくギャグ漫画です。

2人以外にも、暗所閉所恐怖症の御曹司の面倒終太郎、漢として育てられた女の子・竜之介、大食い怪力巫女のサクラさん、ラムの幼なじみで性格の曲がっているランちゃん、などなど数えきれないアクの強い、地球内外のキャラクターがたくさん登場します。

他の高橋先生の作品に触れたことのある方は多いと思いますが、もし『うる星やつら』にまだ触れたことのない方がいらっしゃったら、ぜひぜひこの世界に足を踏み入れてみてください!

WRITTEN by 本村 もも
※東京マンガレビュアーズのTwitterはコチラ

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