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「挫折した時も、落胆した時も支えてくれた」押切蓮介先生によるゲームへの恩返し『ピコピコ少年』

過酷なゲーム開発を乗り切るモチベーションの源泉

こんにちは!ゲーム制作会社『サイバーコネクトツー』の西川裕貴です。

私は開発スタッフや人事スタッフと一緒に新卒採用の面接官をすることが多いのですが、面接の時、相手の方に必ず質問することがあります。

「ゲームクリエイターを目指そうと思ったキッカケは何ですか?」

定番的な質問だとは思いますが、返答の傾向としては以下が多いです。

「子供の頃に遊んだゲームに感動し、自分もそういった感動を誰かに与えられるようになりたいと思ったのがキッカケです。

志望動機として当然と言えば当然なのかもしれませんが、やはりゲームクリエイターを目指す人は、子供の頃の「ゲームとの思い出」が大きなキッカケになっています。

弊社は家庭用ゲームソフトの開発を行っているのですが、最近だと一本の開発に3〜5年ぐらいの期間を要しています。

長期間の開発は本当に過酷で「スケジュール遅延」「対人トラブル」「体調不良」「プライベート問題」等、日々色々なことが起きます。

「こんな苦しい思いをしてまで、なんでこの仕事をしているのだろう?」

新人・ベテラン問わず、そう思ってしまうことも珍しくありません。

でもそんな時、自分を鼓舞するのに大事になってくるのは「ゲームクリエイターを目指そうと思ったキッカケ」を思い出すこと、すなわち「原点回帰」だと、私は思います。

ちょっと前置きが長くなりましたが、今回ご紹介するのは『ハイスコアガール』などで有名な、押切蓮介先生の自伝的ノスタルジー漫画『ピコピコ少年』です。

「ゲームとの思い出」に共感しかない

本作の主人公は押切先生ご自身であり、『ゲーム&ウオッチ』『ファミリーコンピュータ』『PCエンジン』『ゲームボーイ』『ゲームギア』『スーパーファミコン』など、昔のゲーム機や駄菓子屋&ゲームセンターで遊んだ思い出を振り返る「自伝的な漫画」です。

・母親からファミコンのアダプターを隠される。
・新作ゲームソフトを買うため、深夜からお店に並ぶ。
・駄菓子屋は心のオアシス。
・秘密基地を作ってゲームで遊ぶ。
・ゲームをたくさん持っている友達の家に入り浸る。
・対戦ゲームで友情が崩壊する。
・ゲーセンの対戦台で勝つと、相手が筐体を蹴ってくる。
・女の子から「キモい」と言われる。

などなど、1980年代&1990年代の家庭用ゲーム機や携帯型ゲーム機、アーケード筐体を遊んでいた人からすると「あった!あった!そんなこと!」と共感必至のエピソードが満載です。

私も押切先生と同世代ということもあって、エピソード一つひとつに共感しまくりで、少年時代の思い出がフラッシュバックしては、懐かしさのあまり涙とか鼻水とか、色んなものが溢れてきました。

ゲームクリエイターが「原点回帰」できる作品

『ピコピコ少年』はシリーズになっており、続編に『ピコピコ少年TURBO』『ピコピコ少年SUPER』『ピコピコ少年EX』があるのですが、それらも中年男子の目頭が熱くなってくるノスタルジック全開のエピソードが満載です。

この作品はシリーズ通して押切先生の「ゲームへの感謝」の言葉で溢れており、“挫折した時も、落胆した時も、うちのめされた時も自分の心を支えてくれたゲームに「恩返し」がしたい”といった押切先生の心情が強く描かれています。

そして“自分が描いた漫画によって読者に「ゲームとの思い出」を思い起こしてもらえることが、ゲームへの恩返しに繋がるのではないか?”といった押切先生の願いとも言えるメッセージに対し、私も一人のゲームクリエイターとして激しく感動しました。

そんな押切先生の圧倒的「ゲームへの感謝」が詰まっている『ピコピコ少年』を、全てのゲームクリエイターに読んでほしいと思います。

この作品を読んで思い出してほしい。

「なぜ自分がゲームクリエイターを目指そうと思ったのか」を。

そしてゲームを作り続けてほしい。

「押切先生のように何歳になってもゲームを遊んでくれる人」のために。

辛くて、苦しくて、どうしようもない時こそ『ピコピコ少年』を読んで「原点回帰」してほしいです。

WRITTEN by 西川 裕貴
※東京マンガレビュアーズのTwitterはコチラ

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