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よりよく死ぬためにーー。孤独死を防ぐ「終活」は人生を豊かにする。『ひとりでしにたい』

【レビュアー/上原梓

あっという間に花粉飛び交うシーズンになりましたが、みなさんはいかがお過ごしですか?

「老後を支えるのは金と筋肉だ!」を合言葉に筋トレに励んでいるレビュアーの上原と申します。

突然ですが、私は40代独身。趣味に没頭する楽しい独身生活を謳歌しまくっております。毎日楽しくて幸せなんですが、ふと、自分の幸せが薄〜〜い氷の上にある、そんな不安がよぎったりすることがあるんです。そんな中、バチンと横っ面を殴られるような衝撃作に出会ったので紹介させてください!

カレー沢薫先生の『ひとりでしにたい』です!

ある日、叔母が孤独死!液体化した状態で発見される衝撃…

主人公の鳴海はアイドルの推し事と学芸員のお仕事で忙しい30代独身女性。ある日、「伯母が風呂で孤独死し、大変な惨状になった」という衝撃の連絡を受けます。

大手企業の管理職になった、美人でバリキャリの独身女性だった伯母さん。後始末をすることになった鳴海の両親は、こう言い放ちます。

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『ひとりでしにたい』(カレー沢薫/講談社)1巻より引用

う、う、うるせええ!!

あ、すみません…! つい、あらすじ紹介の途中にも関わらず、私の私情がめちゃくちゃ噴出してしまいました…!!

でも、主人公の鳴海も私と同じ気持ち。ちゃんとしなくてはと、まずは婚活しようと立ち上がります。しかし、将来が何となく安定しそう、という理由で安易に婚活をしようとする鳴海に、職場の後輩である那須田がズバッと現実をつきつけます。

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『ひとりでしにたい』(カレー沢薫/講談社)1巻より引用

うああああ!現実が痛い刺されるようだ!!10年前に婚活してた頃の私にも言ってくれよ那須田くん!!

結婚せず、子どもも作らないでいることを責められ、じゃあ婚活しようとしてもアレコレ言われる。ならば…と、鳴海は決意を新たに立ち上がります。

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『ひとりでしにたい』(カレー沢薫/講談社)1巻より引用

こうして、鳴海の30代半ばでの就活が始まったのです!

「おひとりさま女」だけの問題じゃない。全ての人が読むべき「終活」問題!!

と、ここまで読んで頂いた方の中には、この作品はいわゆる「おひとりさま」と称されがちな、独身女性のための作品かな、と思った方も多いはず。でも、違います! 日本在住の成人が全員読むべき作品なのです!

まず、この作品、現在は「コミックDAYS」で隔週日曜日に更新されるのですが、初出は雑誌「月刊モーニングtwo」でした。つまり、青年誌! それだけで、必ずしも女性向きだけに描かれた作品ではないことが分かります。

また、既婚者の方も「自分には関係ないや」と思っていませんか?全っ然、関係あります。だって、連れ合いに先立たれたら、結局ひとりになるではないですか!!

この作品の大きなテーマは「よりよく死ぬ方法を模索する=終活」

男女関係なく、平等にみんな絶対に死ぬわけですから、終活の知識は絶対に必要。ぜひともこの作品で、みんな一緒に我に帰ろうじゃないですか!

ひとくちに「終活」と言っても、その内容は多種多様!

この作品には、「終活」の言葉には収まりきれないような、さまざまな事柄が取り上げられています。

・他人に頼るために、周囲と良い関係性を築くことの重要さ
・兄弟姉妹との関係性の難しさ
・各種支援団体に頼ることの重要性
・親の介護とお金の問題
・自身の老後破産の問題
・新しい事柄に興味を持ち続けることの難しさ
・お寺との檀家の関係性
・親に終活をすすめることの難しさ
・熟年離婚
・推し事は人生を豊かにする!!

濃い!既刊はまだわずか2巻なのに、とっても濃ゆい!!

どれもこれも絶対に必要不可欠な知識。でも、どうしても目を逸らしがちなことばかり…今まで現実を見てこなかった私たちを代表してくれるのが主人公の鳴海です。

そんな鳴海が10歳以上若い那須田にバッサバッサと斬られているうちに、私たち読者も目が覚めるような気持ちになるのです。

孤独死を防ぐこと、それは豊かな人生を送ることであることだと力説してくれる『ひとりでしにたい』

「あなたは大きく儲けることは無いけど一生お金に困らない」と、複数の占いで言われたことだけを心の拠り所にし、老後への不安に蓋をしてきた私ですが、この作品に描かれた的確すぎる指摘を胸に刻み、取れる対策は取っていきたいと思います。

孤独死してしまった伯母さんの、とんでもない遺品も大注目!『ひとりでしにたい』の試し読みはこちら!


好きの気持ちが僕たちを強くさせます(ありがとうございます)。
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