見出し画像

樽交換はF1のピットイン?! あなたの知らない野球の楽しみ方『ボールパークでつかまえて!』

【レビュアー/上原梓

突然ですが、スポーツを観戦する時、皆さんは球場観戦派ですか?テレビ観戦派ですか?ラジオ観戦派ですか?

こんにちは!カープファン歴30年、2021年の球場観戦成績が、9勝8敗2分(6月下旬現在/オープン戦含む)と、完全に球場観戦派のレビュアーの上原です。なんJ用語で言うところのちなCで、今年とっても辛いです。

今回は、球場で観戦することの楽しさが目一杯詰め込まれた作品をご紹介したいと思います。須賀達郎先生の、『ボールパークでつかまえて!』です!

千葉にある野球チーム「モーターサンズ」。そのホーム球場である「千葉モーターサンズスタジアム」を舞台に、球場=ボールパークに集うさまざまな人々を描く作品です。

主人公は、ビールの売り子・ルリコ。見た目は完全にギャルなんですが、中身はとっても純情でがんばり屋で感動屋。そんなルリコを中心に、球場に集まるさまざまな人のドラマが描かれる、この作品。

球場に集う人々は、本当に多岐に渡っています。

内野自由席でひとり静かに野球を楽しむ社畜系サラリーマン・村田。ビールの売り子に憧れていたはずが、何故かお弁当屋さんで働いている山田さん。ベテラン選手の妻でお忍びで球場に通う元女子アナのユキや、大卒6年目の選手の彼女・ミサ。かれこれ30年も球場の警備をしているイガさん。もちろん、選手やチームスタッフ、マスコットなど、球団内部の人たちも登場します。

このように様々な人達が、ボールパークで一生懸命に自分の役割を果たそうとすることで、今までよりも少し楽しく、幸せになっていく様子が描かれているのです。

ファンは、一生懸命応援する。そんなファンに、売り子さんたちは一生懸命ビールを売る。その姿を見て、ファンはより前向きな気持になって応援できる。球場で生まれるそんな小さいドラマの積み重ねが、丁寧に、底抜けに明るいテンションで描かれています。

球団内部のスタッフや売り子さんに、かなりしっかり取材されているのも大きな魅力。野球場の縁の下の力持ちである警備員さんや食堂のスタッフさんの回など、お仕事漫画としての側面もあってさらに楽しく読めます。

ちなみに私は大昔に東京ドームでビールの売り子をしていたのですが、樽の交換の様子などが、体験したそのもので懐かしさがこみ上げてきました! 重かったなあ……。

画像1

『ボールパークでつかまえて!』(須賀達郎/講談社)1巻より引用

球場に行ったことが無い人が読むと、「今度行ってみようかな」と思えるし、私のような現地派は、次の観戦日まで待てずにチケット追加したりすること間違いなし! もしかしたらこの作品を読んだことで「球場で働いてみようかな…」と思う人もいるかもしれません。

「球場もの」というジャンルには、球場の美味しいご飯を楽しむ漫画『野球場でいただきます』や『球場三食』、球場で応援しているうちに自分の心が救われていくような過程を描く作品、『球場ラヴァーズ』シリーズなどがありましたが、ここにまたひとつ、素晴らしい作品が加わりました!

野球好きな人も、そうでない人も、きっとひとつの場所を起点に起こる人間のドラマに惹かれるはず。

暑い夏をより熱くすべく、ぜひ手にとってみてください!!


嬉しいです!
読みたい漫画が見つかる漫画のレビューサイト。隠れた名作も、超王道も。様々な業界で活躍する漫画レビュアーたちが、独自の切り口でおもしろい漫画を紹介します。Sponsored by DMMブックス(https://book.dmm.com