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高難度の技連発=高得点とは限らない、奥深き体操競技の世界『ムーンランド』

【レビュアー/南川 祐一郎】

カッコイイ!だけじゃもったいない

残念ながら延期になってしまいましたが、オリンピックの競技で日本人も大活躍する人気の競技と言えば体操ですよね。

ゼッタイ普通の人にはできないあの動きや派手なパフォーマンスはわかりやすく「カッコイイ!」ので、オリンピックのたびに注目されるし、つい見ちゃう人も多いんじゃないかなと思います。

ただ、サッカーとか野球みたいにプロリーグがあって、テレビとかで中継されて頻繁に見る機会があるわけでもないし、ホームに返ってきたら1点、ゴールにボールを入れたら1点みたいな分かりやすい競技と違って、体操って何がどう評価されて点数がつけられてるのか、実はほとんどの人は知らないんじゃないでしょうか。

でも、それってとってももったいないと思うんです。

わかりやすいのは高難易度の技をバンバンやって高得点!みたいなことだと思うんですけど、高難易度の技も全てがド派手ってわけじゃないですし。

あと実はめちゃくちゃ厳しい減点方式の採点があるんで、一見とっても地味だけど「減点をできるだけされないようにする堅実で正確な演技」をすることで結果的に高得点が出ることもあります。

しかも、例えば鉄棒で演技中に落ちたとか、跳馬で着地ミスってコケたみたいなわかりやすい減点どころか、腕がちょっと曲がってたとか、体が少しブレたみたいな一見シロウトが見てもわからないくらいのミスですらどんどん減点されていくんです。

オリンピックなんかで上位を争う選手というのは、高難易度の技で加点を稼ぎながら、ひとつひとつの技をミスなくこなして、この減点を最小限にも抑えられる。まさに神業のオンパレードを体現できる選手なんですよね。

だからこそ、せっかく体操を見るんであれば、せめて体操がどういった評価で点数をつけられているのかを理解して欲しいし、それがわかればゼッタイもっと楽しめるんです!

そして、スポーツ漫画としてもめちゃくちゃ面白い作品でありながら体操についてとても丁寧に教えてくれるのが、今回ご紹介する『ムーンランド』です。

これぞジャンプ!な王道スポーツ漫画

『ムーンランド』は体操部を舞台にした部活スポーツ漫画なんですが、キャラもみんな個性が強くて魅力的です。ライバルがいたり、挫折を努力や仲間の支えで乗り越えて、大会で勝利を目指していくという「これぞスポーツ漫画でしょ!」という王道で、熱い展開を見せてくれる名作です。

その中でも特に注目したいのが、繰り返しになりますが実はみんな知らない点数とか評価についてしっかりと教えてくれるところと、それを山岸先生自身がよくわかっているからこそとても丁寧に演技シーンが描かれているところです。

この丁寧さは、一流の選手に監修を受けているからだけじゃなく、間違いなく山岸先生の体操への愛ゆえに、だと思うんですよね!

知ってもらえたら間違いなくもっとその凄さを理解してもらえて、もっと楽しんでもらえるはず!

でもみんな知らない…だったら自分が伝えてみせる!

的な熱意がひしひしと伝わる、まさに作者の熱意が作品に見事に表れた作品だと思います。

まだまだ来年オリンピックが開催できるのか予断を許さない状況ですが、今のうちに『ムーンランド』を読んで予習して、無事開催された時には最高に楽しみましょう!

WRITTEN by 南川 祐一郎
※東京マンガレビュアーズのTwitterはコチラ

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