実写映画も期待大!田島列島が描く日本版スタンド・バイ・ミー『子供はわかってあげない』
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実写映画も期待大!田島列島が描く日本版スタンド・バイ・ミー『子供はわかってあげない』

【レビュアー/本村もも】

こんにちは。すっかり本格的な冬になりましたね。

寒さが本当に苦手な私は、夏にばかり思いを馳せてしまいます。一生夏でいいのに…。

ということで、今回は夏を舞台にした、『子供はわかってあげない』について、書かせていただきます。

本作品は、2020年の6月に実写映画公開が決まっていたのですが、昨今の状況を受け、公開が延期になってしまいました。現在は2021年に公開予定となっています。きっと公開は夏なんじゃないかなと、勝手に思っています。

屋上で出会った二人が、秘密を探りに行く一夏の冒険

『子供はわかってあげない』はどんな作品なのかというと、水泳部のエース・サクタさんと、書道部で文字のうまい門司(もじ)くんが、偶然屋上で出会い…というボーイミーツガールな展開からストーリーは始まります。

といっても、ここは田島先生作品なので、「主人公が偶然入った屋上で、たそがれていたミステリアスな少年の横顔に、主人公がときめいて、恋が始まる」とかそういうことはありません。

屋上で部活をサボって、アニメのキャラクターのイラストを描いていた門司くん。共通のアニメキャラクターが好きなことがわかり、オタク友だちとして二人は仲良くなりました。

ゆっくり友情を育む中、サクタさんはあることを門司くんに打ち明けます。

5歳の時に別れた、お父さんを探したい。

手がかりは16歳のお誕生日に届いたお札(ふだ)。

偶然にも、門司くんのお姉さん(元はお兄さんだったが、性転換して現在はお姉さん)が探偵だったので、捜索を依頼します。

サクタさんから依頼を受けた彼女は、その直後、とある宗教団体から、団体のお金と共に消えた教祖さまの捜索を依頼されます。そしてなんとその教祖様がサクタさんの”お父さん”であることが発覚。

開始50ページで、急にハードボイルドな展開を迎える本作

基本的にはゆるっとしたテンポ、ゆるっとしたギャグを交えながら、サクタさんと門司くんの、”お父さん”の秘密を知る旅が始まります。

『子供はわかってあげない』というタイトルの持つ意味

懐かしさと微笑しさと、ドキドキ。

このミスマッチな感じ、「死体を探しに行こう」と子どもたちが親に内緒で旅に出る映画「スタンド・バイ・ミー」とシンクロしているように感じました。

2つの作品の共通点は、「思春期」「ちょっと特殊な家庭環境」「一生忘れられない夏」でしょうか。

ただ、サクタさんと、門司くんはとにかく聞き分けが良くて、素直でまっすぐな良い子なんです。

大人に不満はない。サクタさんは、お母さんが再婚してできた、新しいお父さんや弟との時間も幸せだと感じ、この幸せが壊れてしまうかもしれない、と”お父さん”を探すことを家族には内緒にします。

門司くんも、家族に黙って性転換した元お兄さんだったお姉さんが、おじいちゃんに勘当されたことで、家族がバラバラになってしまった中でも、お姉さんとの関わりをちゃんと持ち続け、おじいちゃんの書道教室のお手伝いもする子です。

それでも、”お父さん”を探すことにしたサクタさん。それでも、お兄ちゃんと呼ぶのをやめない門司くん

大人の望むことをわかっていながら、それでもゆずれないものがあったからこその「わかってあげない」なのかもしれないなと、思います。そして二人が「ゆずれないもの」を持ち始めたことで、この一夏が「子供」から大人に変わりゆく、特別な夏となっているのかもしれません。

実写映画化にも超期待!映画を見る前に原作を読んでおこう!

前述の通り、映画の公開も決まっている本作。そもそも映画化がぴったりなストーリーなことに加え、監督は、「南極料理人」「横道世之介」などで有名な沖田修一さん、サクタさんは上白石萌歌さん、元お兄さんのお姉さんは千葉雄大さん、お母さんは斉藤由貴さん、と、個人的には期待しかないラインナップ。

意外とモテるマイペースで、高校生にしては幼い見た目のサクタさんを、上白石さんがやるのは似合いすぎているし、お姉さんの千葉さんも美し過ぎる。他俳優陣も超豪華。何より沖田監督の描く「間」は、田島先生の世界観にマッチしすぎている。

田島先生の独特のギャグだって、沖田監督なら実写にしても違和感なく、テンポよく入れてくれること間違いなし。別に試写に行ったわけはないので責任は取れませんが、もう面白い。トレーラーを何十回もみてニヤニヤしてしまう。期待しかないです。

そんなに映画の期待値が高い作品なの?サクタさんはお父さんと出会えるの?宗教団体に追われるお父さんはどうなるの?そしてサクタさんと門司くんの恋の行方は?・・ぜひ、本作品を読んでいただければと思います。

上下2巻で完結していますし、夏を爽やかに描いた作品なので、冬の寒さを吹っ飛ばすのにもおすすめです!(一生夏でいいのに!)


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