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【堀江貴文の月イチ漫画レビュー】もしも戦後日本が朝鮮半島のように米ソで分割統治されたら『国境のエミーリャ』

【堀江貴文の月イチ漫画レビュー】は、漫画を愛する堀江貴文氏が超多忙を極める合間に読んでおもしろかった作品を毎月レビューするコーナーです。長文レビューもあれば超短文レビューもありますが、そこはご愛嬌。本当におもしろいと思ったものしかレビューしませんので、どうぞお付き合いください。(編集部)

カレチ』や『グランドステーション~上野駅鉄道公安室日常~』など重厚な鉄道漫画で定評のある池田邦彦氏の最新作『国境のエミーリャ』は、「戦後日本が朝鮮半島のように米ソで分割統治されたらどうなっていたか」を題材としている架空設定の漫画だ。

ポツダム宣言を受け入れない徹底抗戦派が本土決戦を強行し、米ソによって東西に分割された日本。東京もまた二つに分割される。東京の東の玄関口「上野駅」は「十月革命駅」と改名される。そこに併設するレストランで給仕として働くのが主人公の杉浦エミーリャだ。

表向きはレストランの給仕だが、本当の顔は西側への脱出請負人。この世界では首都東京を二分するベルリンの壁と同様の壁が作られている。それを突破するために縦横無尽に地下道や地下水道、橋、時には気球などを使って空路をも駆使しながら、依頼人の希望に応えて脱出をコーディネートするのが彼女の役割だ。

危険を冒しながらも、生まれながらの知性と運動神経で次々と脱出を成功させる彼女の原動力は、数年前に亡くなった腹違いの兄によるものだろう。狙撃手だった彼は、ソ連軍に従軍し数々の戦果をあげた。日本人民共和国(東日本国)に帰国してからは、ある亡命事件に絡んで不慮の死を遂げてしまう。そんな彼の死がエミーリャをリスクある亡命請負人として突き動かしているのだと思う。

もし日本が分割統治されていたら、特にソ連側の政治経済、生活や文化はどのように変化していたのだろうか。

そんな疑問に対して、一つの回答を出してくれるのがこの作品だ。

特に作者の得意分野である鉄道に関しても、面白い視点での指摘が見られる。例えば、旧東北本線はソ連に倣って広軌化(レール間隔をあらわす軌間が標準を超えて作られている)されていたり、電化(鉄道の動力を電気にすること)が西に比べると相当推進されていたりとなかなか面白い。シベリア鉄道との連携もかなり強化されている。そんな架空の物語を楽しむのも一興だ。

WRITTEN by 堀江 貴文
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