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刑務所にいた頃の願望と妙なシンクロを引き起こす『1日外出録ハンチョウ』


福本伸行の名作『賭博破戒録カイジ』のスピンオフは『中間管理録トネガワ』で実績を上げているが、『1日外出録ハンチョウ』までまさかのスピンオフと評されたこの作品。

非常に完成度が高い福本伸行ワールドが全開なのである。

地下の強制労働施設から1日24時間だけ外出を許されるこの仕組みは、50万ペリカという大金を使わないと行使することができないのだが、ハンチョウは自らの特権を使い、チンチロリンを開帳して荒稼ぎしたペリカを使い定期的に外出している。

その外出の仕方が非常にクレバーなのである。

ともすれば貴重な外出の機会を、できるだけ有効に使おうと睡眠時間を削り、できるだけ多くの体験を詰め込もうとするのであるが、それは愚者のやることと割り切って昼寝をしたりホテルのベッドで普通に寝たりする。また、食事もがっついたりしない。

やってしまいがちな高級レストランなどでの慣れない食事ではなく、本当に食べたいものを厳選して食べようとするのである。

時には自分の部下やライバルと外出することもあるが、マイペース具合は崩さない。なんで地下の強制労働施設に落ちてしまったのかと思うくらいにクレバーなのである。

私にとってみると刑務所にいた頃の願望と妙なシンクロしてしまうところも共感ポイントである。

刑務所にいた頃、一日だけでも外出できたらどんだけ楽しいだろうなあ?と妄想していたことがあるのだ。刑務所経験者にはそんなところも楽しめる作品である。

また、表紙にインスタグラムで話題のsaltbaeのマネをさせているのも「おおっ」と思わせるポイントだ。福本伸行ワールドは時事ネタを実はふんだんに盛り込んでいるところも特長なのである。

WRITTEN by 堀江 貴文
※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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