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現代変身物語の決定版!『パンダ探偵社』はカフカ著作『変身』に並ぶ圧倒的名作だ!!

先日健康診断の結果が出たのですが、肝機能が大変なことになっておりました。

「下戸なのに肝機能て!」と思って調べると、どうやら過食でも悪化するみたいです。確実に、ラーメンに対する最近の竹谷の接し方でしょう。

気を付けなければ、と心新たにしながら、きちんと医者に診てもらうことは未病に繋がっていいことだなと思いました。

そんなある日、身体の妙な不調で医者にかかると、突発性多発性染色体変容だと告げられました。自分が別の生物へと徐々に変わっていく「変身病」というものが、この世には存在すると。

『パンダ探偵社』は、そういうお話です。

ぱっと見のシュール感に、少しずつ入りこむリアルな暗澹。

狼男がぽんと街中にいたら、コスプレと思うのではないでしょうか。「その被り物どこで売っているの?」とか「なにかイベントでもあるのかな?」と。

実際、漫画内で描画されている「変身病」の人たちは、そういったコスプレのように妙な可愛らしさがあり、現実離れした印象を覚えます。

また、主人公の名前が半田だったり、相方の名前が竹林だったり、なんだかシュールなギャグ漫画を読んでいるような気持ちになります。

最初は。

「変身病」は、その名の通り病気なので、社会では問題視されています。
しかもこの病気、進行性で止まりません。罹患した者は、例外なくいずれは別の生物へと変容していきます。

差別めいた環境がそこには作られます。身体的な違いはいつでもわかりやすい未知であり、恐怖の対象となり得ます。そういう社会で、主人公半田を含む変身病の患者たちは生活しています。

私が読んでいる漫画は、パンダっぽい風貌の人間が、ご自慢の探偵スキルで世界的難事件を解決するような、勧善懲悪カタルシスものではなかったのです。

どこまでも現実の延長線上で、新しい病気と向き合う社会の話でした。

身体的な変身と精神的な変化を、どう受容していくか。

フランツ・カフカの小説『変身』では、グレゴール・ザムザが朝起きると虫になっているところから始まります。

意識は人間としてはっきりしているものの、変わりすぎた姿に家族は徐々に遠巻きになり、ゆくゆくは自我も崩壊していく。

『パンダ探偵社』では、「変身病」は進行性でありながらも、その進みは遅々としています。

主人公の半田は、今のところ外見がわずかだけパンダです。なんともかわいらしく、見ていてほのぼのします。

しかし、内面はどうでしょうか。人間のままでしょうか。それともパンダという生物の意識に変わっているのでしょうか。

どこまでが人間で、どこまでがパンダなのか。

そして読者である私たちは、半田が完全にパンダへと変わったとして、依然として半田だと思って読めるのか。

他の変身病の患者を、どう思ってどう見ていくのか。

自分が変わっていく恐怖と、だれかが変わっていくのを見る恐怖。半田は悩みながら、日々探偵業をこなし生きていきます。

もしかしたら、その悩む姿さえ、人間の半田ではなくパンダの血がそうさせているのかもしれませんが。

カフカの『変身』のような結末でないことをただただ祈りながら、次巻が楽しみで仕方がありません。

やや恐怖心を煽るような書き方となりましたが、描画はとても美しくて、また穏やかな気持ちになる漫画でもありますよ!

追伸:

最後に、株式会社ナンバーナイン小禄さん、
すばらしく面白い漫画をご紹介いただきありがとうございました!

WRITTEN by 竹谷 彰人

※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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