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圧倒的演出力で脳内麻薬が止まらない…!創作ダンス漫画『ムラサキ』

こんにちは!東京ネームタンク代表のごとう隼平です。

漫画文法を広め、漫画作りをもっと楽しいものにしていくために、マンガスクリプトドクターとしてYoutubeも更新中です。漫画家視点、漫画の制作側から見てオススメの漫画をご紹介して参ります。

今回ご紹介する漫画は……『ムラサキ』。

LINEマンガで連載している作品ですね。「次にくるマンガ大賞 2018」Webマンガ部門でも入賞、さらには「このマンガがすごい2019」の中で、「雑誌編集部が選ぶこのマンガがすごい!オトコ編/ar編集部」では第1位を受賞しています。

とにかく演出力がすごい……!

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創作ダンスの話です。『ムラサキ』(厳男子/LINE Digital Frontier )1巻より引用

厳男子(きびだんご)先生は東京ネームタンクの臨海移動教室でもご一緒したり懇意にしてもらっているのですが、その贔屓目を1ミリもなくしても、もっとも演出力のある作家と言えば、たぶん一番最初に思い浮かぶ漫画家だと思います。

今回は「演出」とは何か、ということに注目しながら『ムラサキ』の圧倒的エネルギーの一端をお伝えできたらと思います。

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凄まじいパワー!(創作ダンスの話です。)『ムラサキ』(厳男子/LINE Digital Frontier )1巻より引用

ワンコインでいいの!? 5000円の画集と言われても安いくらいの芸術体験

『ムラサキ』の魅力のひとつはその圧倒的画力、表現力だと思います。

画面から神々しさまで感じる作品は稀有です。その眩さをより鮮明にするために、紙のコミックスも良いのですが、LINEマンガ やKindleなどの電子書籍もおすすめです。(スマホよりは大きなタブレットで読んでほしい……!)

ぜひPCやタブレットのモニター明度やバックライトを最強にして読んでみてください。これまでに味わったことのない芸術体験をお約束できますよ!

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『ムラサキ』(厳男子/LINE Digital Frontier )1巻より引用

美術館で大きな絵を見て引き込まれたことがあるでしょうか。ペンナイフで盛られた油画の圧倒的なボリュウムを前にして、ただ立ち尽くしてしまう経験……、僕はないんですが。でもなんとなく想像はできますよね。

想像はできるものの、実際は芸術に飲み込まれる体験って難しいんじゃないかなとも思います。その時の心理状態や、見る時の環境も大きく影響しそうです。

しかし『ムラサキ』は読者として読み進めていくなかで、丁寧にこの芸術に圧倒される体験までエスコートしてくれます。

一部の芸術家や、芸術への感化を極めた人でしか見ることのできなかった世界を、主人公とともに体験して行く。

漫画を通して芸術体験ができてしまう、これが『ムラサキ』の凄さです。

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『ムラサキ』(厳男子/LINE Digital Frontier )1巻より引用

ここですらまだ主人公は光に勘付いただけ…圧倒的光量に飲み込まれるのはここから…!

「演出」とは「際立たせて」伝えること

漫画でも小説でも舞台でも映画でも、物語というものは「原作」と「演出」の両輪があって初めて見る人に届きます。

いつも音楽を例に出すのですが、これは音楽で言えば「作曲」と「演奏」です。すばらしい名曲でも、演奏が下手だったら台無しです。

逆に「カエルの歌」であってもジャズの名手が演奏したら、人々を魅了することができるかもしれません。

漫画では「コマワリ」が演出にあたります。

そして『ムラサキ』はこの演出が巧みである、と言えばそうなのですが、それだけではありません。

さて、本当にジャズを極めた名手なら、もしかしたら本来の「カエルの歌」よりも、音階をあえて狂わせた「カエルの歌」のほうがアドリブ効かせて弾きこなし、記憶に残る名ステージとして仕上げられるのかもしれません。

その意味で『ムラサキ』のストーリー軸は、書き出すとややおかしいです。

ダンスがすごい男の子に魅了される

→ダンス部に誘いたい

→その男の子には想い人がいる

→ダイエットを決意

→ダイエット完遂

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ダイエット漫画になってる…!『ムラサキ』(厳男子/LINE Digital Frontier )1巻より引用

しかしこういう遊びもアドリブ、最終的には創作ダンス漫画として、効果的に練り上げられていきます。これぞ演出力!

大したことのないシーンに圧倒的画力の絵を入れるというギャグ=キビズム

『ムラサキ』を読んでいると、ここでこんな画力でぶん殴って来るのかよ!っていう何度もハンマーで殴られるような衝撃があるんですよね。

これをマンガ技術研究会でご本人をお招きして『ムラサキ』研究をしたときに、皆は厳男子(きびだんご)先生らしい演出として「キビズム」と評していました。

たとえば新しい部活の申請だけでも、さも凄いことのように演出が入ります。

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画像は校長先生です。キビズムが炸裂している…!『ムラサキ』(厳男子/LINE Digital Frontier )1巻より引用

このシーンでこんな凄い絵入れるの!? という厳男子先生にしかできない強引なギャグがひたすら叩き込まれていき、パンチドランカーのように頭がどんどん痺れていきます。

そしてそれがまた一部のシャーマンが儀式で麻薬を使うように……理性のタガを外していき、神性すら感じるクライマックスへの没入体験まで一役買っている……きびだんご……なんて恐ろしいだんごなんだ……!

今回の文章、なにかがキマっちゃってる人みたいになってますね……。しかし否定はしません…気持ちいいですよ…ムラサキ……。

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『ムラサキ』(厳男子/LINE Digital Frontier )1巻より引用

2巻も発売中……!ついにダンスが始まってしまうのか……!!

「​LINEマンガ」にて、隔週木曜日連載中!

WRITTEN by ごとう 隼平

※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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