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『彼方のアストラ』に熱狂した漫画読みが、今こそ『SKET DANCE』を読む3つの理由。


漫画業界で話題を席巻した『彼方のアストラ』、その作者篠原健太先生の連載デビュー作。

去年『彼方のアストラ』という漫画があちらこちらで話題になっていました。

すごいストーリーテリング、全5巻とは思えない密度、随所に散りばめられた伏線、等々。

私も篠原健太先生のいちファンとして、前半丁寧に拡げていった風呂敷を後半余すところなく畳んでいく展開に粟立ち、興奮しておりました。計5回は周回読みをしました。『彼方のアストラ』は全5巻に対し、前作の『SKET DANCE』は全32巻です。多いと思う方もいるかもしれません。時短が叫ばれる世の中ですし、そのお気持ちよくわかります。

しかし、『彼方のアストラ』の面白さを6倍楽しめると考えてみてはどうでしょうか。ちなみに、私は10回以上は周回読みをしています。

「個性的」な登場人物たちが織り成す学園コメディ。その行間に潜む暗さ。

『SKET DANCE』の舞台は高校。

頭の切れる主人公・ボッスンと、鬼姫と呼ばれる伝説の不良・ヒメコと、自らは決して喋らずパソコンで話すギークボーイ・スイッチの三人がスケット団なるものを形成し、学校で起きるさまざまな問題に対処していくコメディタッチの内容です。

今でも毎週ジャンプを読んでいる私は、連載スタート当時「面白いなあ」と思いながらも、特別な感情は抱いていなかったように思います。

私の細い眼が思わず見開かれたのは、スイッチの過去編が始まった時です。
これまでの愉快痛快な雰囲気はどこへやら、人間の若さゆえのドラマと、巧みなシナリオ構成が待ち受けていたのです。

スイッチが喋らない原因が明かされていくのですが、今でも、ジャンプをめくっていて「ビクッ」となった感触が思い出せます。本当に衝撃的で、篠原健太先生のお話の作り方に私は心胆震えました。

スケット団の三人は、皆個性的です。しかし、到って普通の人間なのです。

「実は高貴な血筋」とか「実は親がすごい」といった遺伝子的な要素を一切排しています。とにかく人助けをするボッスンも、鬼姫と呼ばれるヒメコも、喋らないスイッチも、皆それぞれ理由があってそうなっています。

コメディに垣間見える、各々の行動原理。そしてそのシリアスがあるからこそ、読み進めれば進めるほどコメディパートが面白くなっていきます。塩のかかったスイカを甘く感じるのと同じ原理です。

あと、やや本筋からそれますが、高校生という青春真っ盛りの舞台で、あそこまで笑える修学旅行はないのではないでしょうか。

週刊少年ジャンプで、「縦軸」なく6年連載が続いた漫画『SKET DANCE』

『SKET DANCE』には、冒険や恋愛や復讐といった、なにか成し遂げたい目的のようなものがありません。当然、読者からの共感(興味)を得難くなると思います。ジャンプを斜め読みされていた方には「毎週ギャグやってるなあ」と映っていたかもしれません。

そのような状況にあってなお、作者篠原健太先生が自ら連載終了を申し入れるまで32巻も続いた漫画が『SKET DANCE』です。

すごくないですか。読めば、納得できると思います。たくさん泣けて、たくさん笑える。

私が社会人になりたてで、世の理不尽に殴打されていた折、支えていただき本当にありがとうございました。感謝の言葉を添えて、レビューの結びとさせてください。

最後に、『SKET DANCE』を読んでから『彼方のアストラ』を読むと、にやにやするような新しい発見があると思います。

WRITTEN by 竹谷 彰人

※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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