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人は努力で変わる。漫画家・矢島光の成長 『彼女のいる彼氏』

※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)

【レビュアー/佐渡島庸平

6年ほど前だろうか。宇宙兄弟のムックで、デザイナーの山中俊治さんと仕事をご一緒させてもらっていた。矢島光さんはそこのゼミ生で、その縁がきっかけでモーニング編集部にいた僕に、漫画を持ち込みにきた。

正直に言おう。

僕はその漫画を読んだ時に、絶対にプロになれないと思った。絵もストーリーもあまりにもつたない。このレベルからプロになるためには、どれだけ努力しないといけないのか。就職したほうが、矢島さんにとっていい人生が待っている。そう思って、厳しめのアドバイスをした。

ネット上で『彼女のいる彼氏』が始まって、話題になりだした。僕の知り合いも何人かが面白いと言ったりしていた。でも、僕はサイバーエージェントの社内の雰囲気などをおもしろ可笑しくエッセイ風の漫画にしているのだろう、と邪推して、読み出していなかった。

先日、矢島さん本人から手紙とともに、本が送られてきた。添えられた手紙には、「思考のあとがたりないと当時、指摘された意味がわかってきました」というようなことが書いてあった。それで、はじめの1話を読んでみたのだけど、やはりはまらなかった。

でも、せっかくだから、1巻と2巻、まとめて読んでみた。それでびっくりした。1巻はなかなか登場人物のキャラがたっていないから、物語に入り込めないのだけど、2巻になって登場人物たちに感情移入できるようになると一気に面白くなってくる。

恋愛も気になるのだが、仕事の描き方もいい加減ではない。雰囲気だけではなく、どのように若手社員が悩み、もがき、成長していくのかが、しっかりと描かれている。

恋愛の部分もちょっとしたしぐさや描写がどんどん上手くなっていってる。
 
正直に言おう。面白かった。

ここからもっと面白くなるだろう。僕は次の巻も読む。

夢を諦めずに努力すると、ここまで人は変われるのか。僕は人は変われると言いつづけて、新人漫画家や若手社員に接している。でも、やっぱり変われないのではないか、そんな気持ちが心を支配する時もある。矢島さんの成長は、何だか僕もうれしくなった。

持ち込みの時に、ここができるようにならないとって話し方をするのではなく、ここを伸ばすともっと面白くなるよって、ワクワクを促進するような話し方をもっとできるようにならないとなと反省。

矢島さんは、自分が漫画家になるために使える武器を全部つかった。サイバー時代の経験を使うと、色々なことをいう外野はいる。

でも、自分の夢をつかむために、すべてをさらけだした。この次は、物語のコツがわかってきて、自分が経験していないことでも、取材してうまくかけるようになるだろう。

矢島さんの過去をほんの少し知っている身としては、面白いだけでなく、覚悟も伝わってくる漫画だった。

この後の展開も楽しみにしています。


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